ルーヴル美術館の有名作品7選【徹底解説】予習して訪問すると楽しい!
パリ ルーヴル美術館に行ったらこれだけは観ておきたい!
有名作品を解説付きで紹介します。
初来館ならぜひチェック!
これを読めば、オーディオガイドなしでも楽しく無駄なく回れます。
1 モナ・リザ(ラ・ジョコンダ)
レオナルド・ダ・ヴィンチ作
世界で最も有名な絵画。
ダ・ヴィンチが51歳〜54歳の間に描いたもの。
フィレンツェの婦人リザ・グラルディーニがモデルだと言われていて、タイトルの「ジョコンダ」はモデルの夫の苗字です。
「モナ・リザ」は「私の貴婦人リザ」という意味。
謎めいた背景や表情の為に、様々な憶測がされ有名になりました。
彼の絵画技法は「スフマート」といって、煙で満たしたような、ぼやけた輪郭や霞みがかった表現が大きな特徴です。全体に自然な調和をもたらす技法です。
ダ・ヴィンチは絵画の他にも建築・解剖学・天文学・力学などなど…
(凄すぎ〜!)
余りにも何でも出来るので「万能の天才」と言われています。
みどころ
- 天才ダ・ヴィンチの計算された配置!
- 左目は、絵のちょうど中央に配置され、顔を楕円形に描くことで印象に残るバランスを作り出しています。
- 謎の背景
- タイトルのジョコンダは「幸福」という意味を持ち、製作当時の、ダ・ヴィンチの息子の誕生を祝う意味を掛けていると思われます。
- 彼はこの絵を未完作品と考えていたようです。
- 描き足したらどうなっていたのでしょうね…?
2 サモトラケのニケ
ルーヴルで最も美しく展示され、シンボルにもなっている彫像です。
1863年にエーゲ海北東の、サモトラケ島の丘で複数のパーツに分かれて見つかりました。紀元前190年ごろの作品です。(かなり古い!)
誰が作ったのか分かっていません。
海の守護神の為の古い神殿に配置されていました。
その神殿はもう廃れてしまいましたが、高い丘から海を見下ろす形だったので、この像もルーヴルの大階段上に、観客を見下ろす形で堂々と展示されています。
翼のある女性像であることから、ギリシャの勝利の神、ニケであると考えられています。
船の形の台座に立っていることから、海軍の勝利を祝ったものだと思われますが、戦争が多い時代のものなので、どの戦争の記念碑かはわかっていません。
みどころ
- 大階段の上に配置され、より神々しい印象に!
- ニケが船にふわりと降り立った所を表した彫像なので、彼女は翼を広げています。
- 薄い布の質感が見事!腹やへそのくぼみ、右脚までよく表現されています。
- 当時の神殿では体の左側を見せる配置だったことから、特に左側がいきいきと表現されていて見応えがあります。
3 ミロのヴィーナス
日本でも大変有名な、美しい女神の彫像ですが、
こちら、1820年ミロ島の畑に埋まっていたのを農夫が発見しました。
その後フランス大使がこれを買い取り→ルイ18世→ルーヴル美術館と引き渡される事になりました。
(畑からのスゴイ出世!)
美しさと、両腕が決して見つからなかった事から大変有名になりました。
みどころ
- 官能的で尊厳に満ちた佇まい
- 左足が大きすぎる。
- 左腕がどのようなポーズだったのか様々な憶測がされています。ヴィーナスの愛人、軍神マルスを抱いていたのかも?または、ヴィーナスの象徴である鏡を掲げていたのかも?謎多き女神ですね。
- 背中側と左側がぞんざいに彫られている事から、背後が壁で、左に何かが配置されていた?
4 ナポレオン1世の戴冠式
輝かしい勝利を収め出世した軍人ナポレオン・ボナパルトの皇帝戴冠式の絵です。
皇帝主席画家のダゥィッドによって描かれました。
(製作期間はなんと3年!)
横幅が10メートル近くある超巨大な絵です。
中央で冠を持っているのがナポレオン、跪いているのは妻ジョゼフィーヌです。
ナポレオンの威厳を世間に知らしめる為に描かれ、もちろんその効果を発揮しました。
この戴冠式の場面はパリのノートルダム聖堂内です。
ちなみに妻ジョゼフィーヌはバツイチで二人の子持ちでした。ミステリアスな美人で、ナポレオンに見初められ再婚したのは32歳。ナポレオンが26歳なので6歳年上ですね。超浪費家だった上に超浮気しました笑。ナポレオンは結構一途で、戦場から何度も手紙を送りましたがことごとく無視!(なんて女だ・・・貴族の破天荒さスゴイ・・・)イケメン中尉との浮気を知って絶望したナポレオンが戦場から嘆きの手紙を送りますが、その手紙がイギリス軍の手に渡り新聞に載せられました。大恥をかいたナポレオンは離婚を決意。彼女は嘘や色気でやり過ごしましたが、子供ができなかったことから結局離婚しました。
みどころ
- 近くで見ると服の質感や足の指一本まで、精密に描かれている事に気付けます。
- 登場人物はなんと200人!
- ナポレオンのポーズは始め、自分の右手で自分に冠を被せるという形に描かれていた為、よく見ると修正の跡が見えます。
- 絵の中央上部で、背もたれ付きの立派な椅子に座る貴婦人はナポレオンの母です。実は当日出席していません。ジョゼフィーヌの戴冠式出席に大反対だった母は、当日の式典をボイコットしたのです。しかしナポレオンは自分の偉大さを確実なものにするためダヴィッドに絵の中に母を入れるよう依頼しました。
- ダヴィッドは当時、世界一大きい絵を描いたと思っていました(実際はほかにもう少し大きな絵がありました)それほど巨大!どう描いたのでしょうね…?信じられなすぎて正気じゃないとすら思えます…
5 民衆を導く自由の女神
フランスのドラクロワによって1830年に描かれました。
フランス革命のあと、王政復古が起き、それに反発したした民衆が蜂起した場面です。
この場面を目撃していたドラクロワは、絵画という形で、この活動に参加することにしたのです。
右側で両手に銃を持つ少年は、ユーゴーの「レ・ミゼラブル」に登場する少年のモデルになったと言われています。
みどころ
- フランスの国旗色である赤・白・青が至る所に使われているのが重要なポイントです。
- 右後ろの建物はパリのノートルダム聖堂。その上にもよく見ると小さな3色国旗があります。
- 中央の自由の女神は日焼けし、とても力強い
- 右下の死体は、服装から王の近衛兵です。市民に殺されたようですね。
- この絵はルーヴルで同室に展示されている、ジェリコーの絵画「メデューズ号のいかだ」から大きな影響を受けました。ぜひ比べてください。
6 瀕死の奴隷
ミケランジェロ作。絵画も彫刻も建築もずば抜けた才能を持ったイタリア人で、ダ・ヴィンチと並び「万能の天才」と呼ばれた人物です。ダ・ヴィンチより23歳年下ですがほぼ同時期に活躍しました。
彼がこの像を法王から依頼されたのは28歳の時で、その時すでに偉大な芸術家だったというから驚きです。
法王の霊廟の為に造られましたが、それは計画だけで終わってしまいました。
若者の奴隷は、何もかも諦め、眠ったような表情をしています。
みどころ
- 細かい作り込みをする事は誰でもするしもうたくさんだと考えていたミケランジェロは、力強さを表現する為、彫像にわざとノミの削り跡を残しています。彫刻家の格闘の痕跡を表現しました。彫像の首元に注目してください。削り後が見られます。
- 特に上半身の筋肉の質感、量感が素晴らしい。同室の他作品と比べると違いを感じられます。
- 躍動感あるポーズも、彼が人気の芸術家であったと納得できる素晴らしさ。
- 足元に猿がいます。そして猿も、諦めたような表情をしていますのでぜひ見てください。
- 同展示室に連作の「抵抗する奴隷」を見る事ができます。
7 岩窟の聖母
レオナルド・ダ・ヴィンチ作。
彼の絵画は大変少ないのですが、そのうち5点がルーヴル美術館にあります。大変貴重です。
その中でもぜひ見たいのがこちら。
洞窟の不気味で怪奇な背景と、人物の柔らかい表現とが奇妙な組み合わせであることから有名になりました。
ダ・ヴィンチが31歳の時に礼拝堂から依頼を受け、彼にとってはじめての重要な宗教画になりました。
中央に描かれているのが聖母マリア、画面左は幼少期のヨハネ、右端は天使、天使に支えられているのが幼子がイエスです。
岩と水には意味があって、キリスト教で聖母の純潔を象徴するものです。
製作当時彼は、岩や水などの自然物の形態について研究している最中だったので、描写がとても複雑です。
みどころ
- 岩窟の聖母の隣もダ・ヴィンチ作品です。見比べると、どれも女性の顔がダ・ヴィンチ特有で特徴的だと気づけます。
- また、どれも背景がミステリアス。
- イエスは指でヨハネに祝福を与えています。(幼い手が可愛らしい!)
- 手前の色味の無い草花の描写が細かくて見事。
- なんとこちらも未完成!
まとめ
西洋美術史の教科書と、ルーブル美術館で買える作品ガイドブック、有料の音声ガイドで勉強しつつ、自分の感想も絡めて解説しました。
有名作品はたくさんありますが、予習してから行くとみどころもわかるし印象に残るので面白いですよ!
また、紹介した7作品は、大変有名なので、美術館内の道案内などがわかりやすくされており、見つけやすいです。
入り口に入ったらモナリザを目指して案内表示を進むと、道中やその先で出会えます。